建築設計の仕事と役割

建築設計の仕事と役割について紹介します。

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建築設計の仕事は大きく2つに分けられます。

一、設計業務

  1. ご相談を受ける
  2. 敷地確認
  3. 法令等確認
  4. プラン立案
  5. 契約
  6. 基本設計
  7. 実施設計
  8. 建築確認申請

二、監理業務

  1. 工事契約
  2. 工事着工
  3. 工事監理
  4. 竣工

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01.ご相談を受ける

設計の仕事はご連絡をいただき、お客様のお話をお伺いする事から始まります。その際は、家族構成を始めライフスタイル、敷地やご予算、工事時期、ご希望の間取り等様々な事をお伺いし、お施主様の住まいに対する要望を伺います。これから設計をしていく上での条件の整理を行います。

02.敷地確認

実際の敷地を拝見させていただき、必要に応じて建築測量を実施いたします。(測量できない場合には測量事務所に現況測量を依頼する必要が出てくる場合があります。)
敷地確認後、敷地図を作成いたします。敷地図がおありにある場合には、その敷地図を元に現況との照合を致します。

03.法令等確認

役所等へ出向き、建築にかかる法規・条件を確認いたします。
法務局に出向き、公図のコピー及び登記簿謄本を確認した上で謄本の申請、地積測量図の有無を確認します。

04.プラン立案

お施主様の要望と敷地・法令のチェック等諸条件を踏まえながら、プランを立て、おおまかな図面を提案させていただきます。

05.契約

ご提案させていただいたプランにご納得いただけましたら、設計に関する重要事項の説明を行い、設計・監理業務契約を行います。

06.基本設計

基本設計とは、お施主様の意図を十分理解した上で、基本構想をまとめ、建築物の空間構成を具体化した設計図書を作成する業務です。基本設計では模型を製作し、お客様には、建物の配置、間取り等どんな外観になるのか確認していただきます。打ち合わせを重ねながら、設計案を練り、ご納得いただけましたら、おおよその工事の概算を提示します。

07.実施設計

実施設計とは、基本設計に基づいて、建物をつくる施工業者に対して実際の見積りや工事の実施に必要な図面を作成する作業です。(意匠設計・構造設計・電気設備設計・機械設備設計)

08.建築確認申請

実施設計が終った図面を基に確認申請書を作成します。建物を建てるには、確認申請書を所轄の役所又は指定民間確認検査機関に提出し、建築物が建築基準法・条例に適合しているか確認を受けなければなりません。確認を受けずに工事を着工する事はできません。

確認申請書は正・副二部作成し、役所若しくは指定確認検査機関が確認後、副本(確認済証)が返却されますが、建物が建築主に引き渡されるまでは、設計事務所が補完します。

もし、建築計画が建築関係規定に適合していない場合は、申請者に対して適合しない旨の通知書が交付されます。これが交付された場合は、適合するように変更し、再度確認申請を行う必要があります。
(事前申請がある場合には、この時点までに必要手続き行わなければなりません。)

※ここまでが設計業務になります。

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01.工事契約

実施設計が終わると、実施設計図面を基に、施工業者(3社程度)に見積りを依頼します。各施工業者に設計図書を全てお渡しし、見積りを作成してもらいます。(※この作業は確認申請と並行でかまいません。)

見積書が出来上がると、設計者は、各項目ごとに、設計内容と合致しているか、安価で良心的か、不当な金額になってないかを細かくチェックします。また、施工業者の実績や信頼性等をお施主様の立場になって比較検討します。工事内容・正式な見積額にご納得頂けましたら、施工業者と工事請負契約を結びます。

02.工事着工

着工時には起工式(安全祈願祭)を行います。建築確認済証が発行されれば工事着工です。

03.工事監理

工事監理とは、工事内容が契約・設計図書に合致するように公正な立場に立って施工業者を指導監理する業務です。設計者はお施主様の代理人として施工業者が設計図書通りに工事を行っているか確認します。

04.竣工

工事が完了し、工事監理業務も終了したら建物の完成です。完了検査申請書を所轄の役所又は指定民間確認検査機関に申請し検査に合格すれば検査済証が発行されます。

役所の工事完了検査に合格できなかった場合には、役所から是正すべき事項が支持されます。是正工事終了後に、検査済証が発行されます。

設計事務所は工事監理業務が終了したら、お施主様に対し『工事監理報告書』の書面を持って、工事監理内容の報告を行います。この段階で完成・お引渡しとなります。最後に、お施主様に『工事監理報告書』と『確認申請書・確認済証』をお渡しいたします。

建築設計の役割

 設計者の仕事は図面を描くだけではありません。設計者には『設計業務』だけではなく『監理業務』というとても大切な仕事があります。よく「かんりって現場監督の事?」と誤解される方もいるようですが、『現場監督』ではなく、『工事監理』という業務です。『工事監理』とは、施工業者が行っている工事がちゃんと設計図書の通り行われているか監理する業務です。設計者はお施主様の代理人として、しっかりチェックするのが建築設計としての重要な役割なのです。

中立の立場で公正な監理を・・・

 特に設計事務所の設計者が設計監理を行う場合、中立の立場で工事現場の監理を行う事が出来ます。一方、施工会社やハウスメーカーも監理を行っていますが、設計も工事も監理も全て自社の社員という事になります。その場合、利益をあげようと材質を安いものにしたり、手抜き工事をしないまでも、工事のチェックが甘くなってしまうかもしれません。そうなってくると、設計施工を両方行う施工会社やハウスメーカーは本来の工事監理の機能が働かない可能性があるのです。
 私たちは工事監理者として、工事のミスが無いよう、現場での検査やチェックをしっかりと行い、欠陥住宅防止の抑止力となるよう、安心安全で、お施主様が心から納得できる家づくりを目指していきたいと思います。